監獄の中で、あなたは…。スタンフォード監獄実験とセルフイメージから考える【引き寄せシリーズ4】


公開日:2015年9月3日( 最終更新日:2016年1月8日 ) [ 記事 ]
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ドンドンドンッ!

ある日、あなたは、突然の物音に驚いて目を覚まします。

寝ぼけた頭で必死に状況を理解しようとするあなた。

どうやら、誰かが、あなたの家のドアを叩いているようです。

「○○さーん、○○さーん。」

聞き覚えのない男の声が、あなたの名前を呼んでいます。

少し怖くなったあなたは、しばらく無視を決め込みますが、相手も帰る様子がありません。

仕方がないので、ドアに防犯チェーンを念入りにかけて、おそるおそるドアを開くと……。

そこには、裏のありそうな笑顔を浮かべた男が立っています。

話を聞くと、男は、あなたを逮捕しに来た刑事だということ。

身に覚えはありませんでしたが、相手はプロ。初めてのことに戸惑うあなたを、言葉巧みに家の外に誘い出し、赤子の手をひねるかのごとく逮捕してしまいます。

あまりに突然な出来ごとへの驚きや、今後の不安、近所の目への心配などが次々と脳裏をかすめ、あなたの頭はパニック状態。

しかし、刑事さんは慣れた様子で、あなたの腕に手錠をはめると、手際よくパトカーに乗せられてしまいました。

その後、紆余曲折があり、あなたは監獄にいれられることになってしまいます……。

さあ、これから始まるあなたの監獄生活。

いったい、どんな運命が待ち受けているのでしょうか――?



冒頭から不吉なことを書いてしまい、申し訳ありませんでした。

なぜこのようなことを書いたかと言うと、この記事は、監獄の中での人間の振る舞いがテーマだからです。

実は、この監獄の中での人間の振る舞いを考えることが、監獄生活などとは一生無縁の(おそらくは、あなたのような)善良な市民の人生にも大きな影響を与える“あること”を理解するための役に立つのです。

いったいなぜ、そのようなことが言えるのでしょうか?

もう少し、先を読み進めていきましょう。

監獄への(いざな)い。

ある日、1つの新聞広告が、あなたの目に留まります。

その広告は、ある心理学実験の被験者を募集したもので、被験者として協力すれば報酬が支払われるといいます。

あまり金銭的に余裕のない大学生だったあなたは、報酬につられて実験に申し込むことにしました。

もちろん、不安がなかったわけではありませんが、心理学者の指導の下、有名大学で行われる実験だということで、大きな危険はないだろうと判断しました。

その結果、幸いにも、あなたは実験の被験者として選ばれることができました。


その実験では、被験者が2つのグループに分かれ、1つのグループは、刑務所を模してつくられた施設で、囚人役を演じることになります。

そして、もう1つのグループは、囚人を監視する看守役を演じることになります。

実験期間は2週間。

気になる他の参加者は、あなたと同じように募集に申し込んできた心身ともに健康な一般の人たちで、本物の犯罪者と接する必要があるわけではないそうです。

過ごす施設も、刑務所に似せて作られているとはいえ、本物の監獄ではなく、あくまでも一般の大学内にある実験室です。

そして、実験中の様子は、心理学者に観察されているということですから、何かあれば適切な対応をしてくれることでしょう。


さて。これからこの実験に参加するあなたの身に、いったいどんなことが起こることになるのでしょうか……?

もしかしたら結果をご存知かもしれませんが、その知識は一旦忘れて、想像してみてください。


金網が張り巡らされた監獄への入り口
画像:「Old Geelong Gaol 10」 by jmiller291



いかがでしょうか?

もしあなたが、「ちょっと規則の厳しい長めの合宿」にでも参加するくらいの気持ちでいたとしたなら、その期待は大きく裏切られることになるかもしれません……。

監獄生活の始まり

さて。見事、監獄を使った心理学実験に被験者として参加することになったあなた。

“実験開始の時”は、突然やってきます。

ドンドンドンッ!

あなたは、家のドアを叩く音に目を覚まします。

「○○さんーん、○○さーん。」

見知らぬ男が突然やってきて、無実のあなたは、逮捕されてしまったのです。

そして、あれよあれよという間にパトカーに乗せられ、なす術もなく連れ去られてしまいます。

パトカーが止まり、説明を受けたあなたは、ようやく事態を呑みこみます。

実験を計画した心理学者がリアリティーを追及して、わざわざ、あなたの家まで本物の警察を派遣してきたのです。

そうです。あなたは、受刑者役の被験者として実験に参加することになったのです。

あなたには、いったいどんな運命が待ち受けているのでしょうか……?

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スタンフォード監獄実験

実は、このような心理学実験が、実際に行われたことがあり、映画化されるほどの有名な心理学実験として知られています。(作品名は後ほど紹介します)

その実験では、参加した被験者たちはいったいどんな経験をしたのでしょうか?

Wikipediaより引用してみましょう。

次第に、看守役は誰かに指示されるわけでもなく、自ら囚人役に罰則を与え始める。反抗した囚人の主犯格は、独房へ見立てた倉庫へ監禁し、その囚人役のグループにはバケツへ排便するように強制され、耐えかねた囚人役の一人は実験の中止を求めるが、ジンバルドーはリアリティを追求し「仮釈放の審査」を囚人役に受けさせ、そのまま実験は継続された。

精神を錯乱させた囚人役が、1人実験から離脱。さらに、精神的に追い詰められたもう一人の囚人役を、看守役は独房に見立てた倉庫へうつし、他の囚人役にその囚人に対しての非難を強制し、まもなく離脱。

離脱した囚人役が、仲間を連れて襲撃するという情報が入り、一度地下1階の実験室から5階へ移動されるが、実験中の囚人役のただの願望だったと判明。また、実験中に常時着用していた女性用の衣服のせいかは不明だが、実験の日数が経過するにつれ日常行動が徐々に女性らしい行動へ変化した囚人も数人いたという。



なんと、実験のために集められただけの、本当の犯罪者でもなければ看守でもない、心身ともに健常な大人たちが、短期間の間にここまでの豹変を見せたというのです。

その様子を見た人は、どのように感じたのでしょうか?


ジンバルドーは、実際の監獄でカウンセリングをしている牧師に、監獄実験の囚人役を診てもらい、監獄実験と実際の監獄を比較させた。牧師は、監獄へいれられた囚人の初期症状と全く同じで、実験にしては出来すぎていると非難。

看守役は、囚人役にさらに屈辱感を与えるため、素手でトイレ掃除(実際にはトイレットペーパの切れ端だけ)や靴磨きをさせ、ついには禁止されていた暴力が開始された。

ジンバルドーは、それを止めるどころか実験のリアリティに飲まれ実験を続行するが、牧師がこの危険な状況を家族へ連絡、家族達は弁護士を連れて中止を訴え協議の末、6日間で中止された。しかし看守役は「話が違う」と続行を希望したという。

後のジンバルドーの会見で、自分自身がその状況に飲まれてしまい、危険な状態であると認識できなかったと説明した。ジンバルドーは、実験終了から約10年間、それぞれの被験者をカウンセリングし続け、今は後遺症が残っている者はいない。



いかがでしょうか?

繰返しになりますが、集められたのは心身ともに健常な一般の人たちです。

そんな人たちが、たった6日間の間にここまで変わってしまったと言うのです。

そして、さらに驚くべきは、実験を客観的に観察している立場のはずの心理学者までもが通常の精神状態ではいられなかったというのです。


実はこの実験は、アメリカの名門大学であるスタンフォード大学で行われた、「スタンフォード監獄実験」の名で知られる有名な心理学実験です。

この実験をモデルにして、『es(エス)』という映画もつくられているというくらい有名な実験です。

(あくまでもこの実験を参考にしてつくられた作品で、完全な再現ではありません。この映画を実話と勘違いして、監獄実験で死者が出たと言っている人を見かけることがありますが、それは映画だけの話で、実際には亡くなった方は出ていないということです)

さらに、私は見たことがありませんが、同じくスタンフォード監獄実験をモデルとした映画で『エクスペリメント』という映画もあるようです。(こちらの方が『es』よりも新しいようです)

参考までに、『es』と『エクスペリメント』の予告編を紹介しておきましょう。(若干ですが、刺激的な映像を含むのでご注意ください。)

全編を見たい方のために、アマゾンと楽天へのリンクも張っておきます。








セルフイメージとは?―「引き寄せの法則」との関係性

ところでこの記事は、「監獄の中での人間の振る舞いを通じて、監獄などとは一生無縁の善良な市民の人生にも大きな影響を与える“あること”」について考えるのが目的でした。

その“あること”と言うのは、実は、いわゆる「引き寄せの法則」です。


【 ご注意 】

詳しくは、このシリーズがひと段落した後に書く予定ですが、「引き寄せの法則をちょっと科学的にシリーズ」は、いわゆる「引き寄せの法則」をむやみやたらと使うことを推奨するために書かれたものではありません。

その理由は、とても一言で説明できるような内容ではありませんが、あえて簡単に一言で説明するとしたら、「引き寄せの法則」は強力な力をもった作用であるがゆえに、十分に注意して使う必要があるというような説明になります。

(強力な力をもった重機を、練習なしの無免許・無資格で使ったとしたら、自分や周囲を傷つけてしまう可能性があることに似ています)

詳しいことは、いつか書きたいと思っていますが、いつになるかわからないので、現時点での参考記事を紹介しておきます。

【 参考記事 】

むやみやたらと、「引き寄せの法則」を使ってしまえば、この記事にある「“天命”なき“人事”は暴走」の状態になってしまうでしょう。


このスタンフォード監獄実験と「引き寄せの法則」には、いったいどのような関係があるのでしょうか?

この記事は、「引き寄せの法則をちょっと科学的にシリーズ」の4番目の記事として書かれた記事ですから、もう十分おわかりかもしれませんが、この記事から読み始めた方もいると思いますので、ここでもう一度「引き寄せの法則」について確認をしておきましょう。


【 定義 】
(「引き寄せの法則をちょっと科学的にシリーズ」における、「引き寄せの法則」の定義)

引き寄せの法則とは、「その人の“信じていること”、“考えていること”、“心に思い描いたこと”が、その人の現実になる方向へとはたらく作用」


では次に、仮に、この「引き寄せの法則」が本当に実在すると考えてみることにしましょう。

もし、このような「引き寄せの法則」が本当の実在するとすれば、例えば、「それまで怠け者で有名だった人でさえも、『私は働き者だ』と信じ込めば、本当に働き者になってしまう」というようなことが起こるはずです。


この「私は働き者だ」というような、自分が自分自身に対して抱いている印象のことを、一般的に“セルフイメージ”と呼んだりします。

もちろん、「私は恥かしがり屋だ」、「私は優しい」、「私はエリートだ」なども、セルフイメージの一種だと言えます。

“セルフイメージ”というのは、文字通り、自己(セルフ)に対して抱いているイメージのことですね。日本語では、「自己像」と言ったりします。


話を元に戻して、もし「引き寄せの法則」が本当に正しいのであれば、このセルフイメージ(=自分自身に対して抱いているイメージ)が変われば、それに応じてその人も変わらなければおかしいということになるはずです。

なぜならば、セルフイメージとは自分自身に対するイメージのことですから、言いかえれば、「自分はこういう人間だ」と“信じている姿”だと言うことができます。

「信じていることが現実になる方向にはたらく作用」が引き寄せの法則なのですから、「私は働き者だ」と心の底から信じれば、どんなに怠け者だった人でも、働き者になってしまうはずなのです。(より正確には、働き者になる方向の力が作用する)


本当にこんなことが起こり得るのでしょうか?

私が何を言いたいのか、もう、おわかりですね?

普通に考えれば、怠け者が、「自分は働き者だ」と信じるだけで、本当に働き者になってしまうなどということは、荒唐無稽で、耳を傾けるには値しないようなことに聞こえるかもしれません。

しかし、スタンフォード監獄実験は、そんなことがあるのかもしれないということを示唆しているのです。

スタンフォード監獄実験は、“役割”の力を証明した!

ではここで、再確認の意味も含めて、この「スタンフォード監獄実験」の概要を簡単にまとめておきましょう。

1971年8月14日から1971年8月20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドー (Philip Zimbardo) の指導の下に、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験が行われた。模型の刑務所(実験監獄)はスタンフォード大学地下実験室を改造したもので、実験期間は2週間の予定だった。

新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された。



この「監獄実験」は、“役割”が人の行動を変えてしまうことを確認しようという目的で行われたものだったといいます。

その結果、実験に参加した被験者たちは、ほんの短時間のうちに、危険なほどまでに“役割”通りの人格に変貌してしまったといいます。

確かに、このように役割に応じて人が変わるという現象は、私たちの日常生活でもなじみの深い現象です。

学生時代の部活動の場面を想像してみてください。

例えば、何も考えずに好き勝手やっていた下級生たちが、上級生の引退が近づき、「自分たちが部活を引っ張っていかなければ」という役割の意識が目覚めた途端に急に頼もしくなったというような場面を目撃したことはないでしょうか?

あるいは、仕事で出世して新しい役割に就いた場合や、子供が生まれて親としての役割を感じ始めた人はどうでしょう?

おそらく誰もが、そのような役割の変化で変わった人を目撃したり、自分自身がそんな経験をしたことがあるのではないかと思います。

“役割”の力は、表面的な振る舞いを変えるだけにとどまらない。

そしてさらに注目したいのは、役割に応じた振る舞いをするようになった人たちは、役割という義務感から嫌々ながらもその役割を演じていただけだとは限らないということです。

もう一度、上に記載した、実験の様子を読み返してみてください。


「看守役は誰かに指示されるわけでもなく、自ら囚人役に罰則を与え始める。」

「家族達は弁護士を連れて中止を訴え協議の末、6日間で中止された。しかし看守役は「話が違う」と続行を希望したという。」



これらの記述を読む限り、看守役の被験者たちは、どう見ても、看守を演じなければならないという義務感から仕方なく囚人役の被験者たちに対して高圧的な態度や、さらには暴力を振るったようには見えません

本人たちの意識が、自発的にそうしたいと感じていたと見るほうが自然です。


このことから考えれば、役割によって振る舞いが変わってくるとき、単純に役割の義務感から外見的な振る舞いだけを変えたのではなく、本人の自覚している顕在意識が望む方向性自体を変えてしまっていることがあるということになります。


そうです。役割は、外から見える振る舞いだけでなく、その人の(少なくとも表面的な)意識すら変えてしまう可能性を秘めているのです。

監獄実験から、「引き寄せの法則」を考える

このことから、いったいなにが言えるのでしょうか?

自分自身に対して抱いているイメージのことを、一般的にセルフイメージと呼ぶことは、既に説明しました。

そして、もし「引き寄せの法則」が正しいのであれば、セルフイメージが変われば、そのセルフイメージの変化に応じて、その人自身も変わってしまうことになるはずだということも説明しました。


また、「スタンフォード監獄実験」を例にしながら、その人が自分自身に与えている役割が変化すると、その人自身がよりその役割らしい振る舞いをするようになること。そして、さらにはその人の少なくとも表面的な意識までもが変わってしまうことがあることについても説明してきました。


ところで、この役割というものは、セルフイメージの一種だと考えることはできないでしょうか?

「私は囚人を監視する看守だ。」

「私はこの部活を引っ張ていかなけれればならない上級生だ。」

「私は社長だ。」「平社員だ。」「アルバイトだ。」「父親、母親だ」……。

これらはすべて、自分が自分自身を捉えているイメージ、自己像、セルフイメージの一種だと考えられるでしょう。


それらが変わった結果、実際にその通りに振る舞いが変わってしまうということは……。

少なくとも、“役割”という視点から考える限りは、いわゆる「引き寄せの法則」通りのことが起こることがあると言えそうです。

これまで、この「引き寄せの法則をちょっと科学的にシリーズ」の記事で扱ってきたのは、おもに筋肉の運動レベルの体の動きでした。

【 参考記事 】

これだけですと、正直なところ、人生に与える影響という意味では、インパクトが小さいように感じられます。

しかし、その人の性格や、顕在意識が望む方向性についてさえ、引き寄せの法則が影響を与えているのだとしたらどうでしょう?

それも、ごくごく普通の一般人が、本当の看守のような振る舞いをするようになり、さらには禁止されていた暴力を振るうまでに変えてしまうほどの影響力です。

そこまで大きく人を変えてしまうほどの力があるのだとすれば、いわゆる「引き寄せの法則」の影響は人生のありとあらゆる場面に大きく及んでくることになるでしょう。

そうであれば、「引き寄せの法則」が人生を変えるのに十分な力を持っていると言ってしまっても過言ではないでしょう。

と、言いたいところですが……。

まだ少し、気になる点も残っています。

それは、“役割”以外のセルフイメージでも、同じような効果があるのか?ということです。

長くなってしまいますので、このことについては、記事を改めて書くことにしたいと思います。

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